2026 Topps Series 1 Baseball の原点へ
毎年、Topps Series 1 Baseballは新たなToppsベースボールカードシーズンの幕開けを告げる存在だ。しかし2026年版が持つ意味は、例年とは明らかに違う。Toppsベースボールカード誕生75周年。その節目を背負ったリリースは、長年The Hobbyにおいて最も重要なプロダクトの一つとされてきたSeries 1に、これまで以上の重圧と期待をもたらした。
このセットを手がけたクリエイティブチームの目標は、単に過去を振り返ることではなかった。数十年にわたって築かれてきた数々のアイコニックなToppsデザインと肩を並べても遜色のない、“今”を生きる一作を生み出すことだった。
2026 Topps Series 1 Baseballは、ブランドの75周年を祝うにふさわしい、クリーンでモダンなベースデザインを採用している。その根底にあるのは、Toppsが長年大切にしてきたコア原則だ。ノスタルジーに頼るのではなく、写真表現を主役に据え、節度あるレイアウト、さりげないステッチのディテール、そしてプレミアム感のあるインサートを通じて、コレクターに向けた自信に満ちた“記念年”を提示する。
プロジェクトの立ち上げ段階から、周年という事実はチームの意識を大きく左右していた。Toppsのシニア・ディレクター・オブ・クリエイティブであるジェフ・ザコウスキーは、このリリースを「自分たちへの挑戦」だったと振り返る。
「ハードルは確実に上がった。特にアニバーサリーイヤーにおいて、Series 1がToppsのフラッグシップとしてふさわしい存在に感じられることが重要だった。ただし、ベースデザインを純粋な回顧主義にはしたくなかった」。
この考え方が、セット全体の基盤となった。特定の時代にデザインを結びつけるのではなく、あらためてToppsの本質に立ち返る。「強い構造、明確なヒエラルキー、そして選手のイメージにすべてを委ねること」。ザコウスキーの言葉どおり、その思想が全編に貫かれている。
2026 Topps Series 1 Baseballの「ベース」を築く
2026年のベースカードデザインを主導したのは、Toppsのアートディレクター、アダム・シュワルツだ。彼の制作プロセスは、過去のカードデザインからではなく、「野球そのもの」から始まった。
「ベースカードをデザインするにあたって、野球という競技のアイデンティティを考えていた。外野の芝、内野の土、ベース──そして最終的に行き着いたのがユニフォームだった」
この視点の転換が、大きな意味を持つことになる。ユニフォームを注意深く観察する中で、シュワルツはその物理的なディテールに強く惹かれていった。「ステッチや異なる素材の存在に気づいて、そこに強く引っかかるものを感じた。この方向性だ、と直感した」。
そのステッチの要素は、最終的に2026年ベースデザインを象徴する視覚的モチーフとなり、カードを“競技としての野球”の手触りへと静かにつなぎ止めている。
もっとも、このアイデア自体は突発的なものではなかった。シュワルツは、その構想が以前から温められていたことを明かしている。
「実はこのアイデア自体は、2025 Series 1用のデザインを提出していた2024年の時点で生まれていた。ステッチを使った案を出していたが、当時はまだ完成度が足りず、採用されなかった。2026年になって、もう一度挑戦すると決めていた」
刷新されたビジュアルに加え、ベースカードには節目を示す小さなサインも組み込まれている。「毎年完全に新しいデザインにすることに加え、Series 1の75周年を記念してTopps 75thロゴを加えた」。シュワルツはそう語る。そのロゴは主張しすぎることなく、あくまで静かに、この年の特別さを伝えている。
スケールとシンプルさのためのSeries 1デザイン
Series 1のような大型リリースでは、見た目の美しさだけでは足りない。スター選手、ルーキー、ベテラン、さらには引退したレジェンドまで、膨大なチェックリスト全体に機能するデザインである必要がある。
「2026年の最大の目標は、クリーンで読みやすく、モダンで、写真を主役にしながらも、全チェックリストに無理なく展開できるベースセットを作ることだった」。ザコウスキーはそう語る。抑制の効いた姿勢は、制作の最後まで一貫していた。「レイアウトは規律を保ち、誰が見てもToppsだとわかる骨格を守る。その上で、書体や余白、全体のシンプルさによって表現を現代化した」
その結果生まれたカードは、現代的でありながら、一目でToppsだと認識できる佇まいを持つ。
特定の過去デザインを直接引用することは避け、構造には親しみを、表現には今の空気を宿す。75年の歴史を祝う年にあえて強いノスタルジーを避けた判断は、明確な意志によるものだった。
インサートがもたらす自由な表現
ベースセットが統一感を担う一方で、インサートはより自由な創造性を解き放つ場となる。
Toppsのシニア・アートディレクター、ジョン・ドルダンは、その中でも「All Kings」をお気に入りのインサートとして挙げている。
「All KingsはAll Acesの流れを汲みつつ、打者にフォーカスしたインサートだ」と彼は語る。「ハート、スペード、クラブ、ダイヤ──複数のスートを用いた、キングのトランプを思わせるデザインになっている。ブラックストックにシルバーのホロフォイルを重ね、角はラウンド仕様。非常にハイエンドなルックだ」。その洗練されたデザイン言語が、一枚一枚のカードを、手にした瞬間から“クラシック”へと押し上げている。
もう一つの注目インサートが「2025 Greatest Hits」だ。前年を象徴するプレーの数々を切り取ったシリーズである。「2025年レギュラーシーズンのベストモーメントを集めた。サヨナラ、ホームラン、勝負どころでの一打──そういった瞬間だ」とドルダンは語る。その“瞬間性”とインパクトは、デザインにも明確に表れている。「新聞の題字を引き裂いたようなマストヘッドのデザインで、その下には粗いドットスクリーン処理の選手背景がのぞく。そして、選手のシルエットがその上に重なる構成だ」
2026 Topps Series 1 Baseballが放つステートメント
2026 Topps Series 1 Baseballが完成へと近づくにつれ、一本の軸として浮かび上がるのは“自信”だ。このデザインは、自らがToppsの歴史の中にあることを理解しながらも、過去に寄りかかることはない。コレクターの記憶に何が残ってほしいかと問われたザコウスキーは、端的にこう答えている。
「強いフラッグシップイヤーだったと感じてほしい。クリーンで、自信に満ちていて、すでに数多くのアイコニックなデザインが並ぶカタログの中でも、ひと目でそれとわかる存在であること」
Series 1は、Toppsが初めてベースボールカードを世に送り出してから75年経った今もなお、出発点であり、同時に意思表明であり続けている。そして2026年、そのステートメントはこう語りかける。過去への敬意、現在の明晰さ、そしてブランド史上最も象徴的なリリースと肩を並べるために設計されたデザインである、と。

